Web広告はマスメディア広告と比べて、意図したユーザーに広告を配信しやすい特徴があります。なぜならより高い精度でターゲティングすることができるからです。ユーザーのあらゆる情報を駆使することで、適切な人に適切な場所と適切な時に、適切なデバイスへと配信することが可能になっています。こちらではそんなWeb広告のターゲティングの種類について紹介していきます。ターゲティングの成功と失敗はROASやROIに直結します。目まぐるしいスピードで進化を遂げるWeb広告分野の波に乗れるよう、この記事で各ターゲティングの理解を深めていきましょう。
この記事の目次(クリックで項目へジャンプします)
広義のターゲティングとWeb広告上のターゲティング
ターゲティングの定義に入る前に、周辺知識もおさらいすべく、STP分析について触れておきましょう。セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの頭文字を取って名付けられたのがSTP分析ですが、それぞれの定義を一言で表すことができるでしょうか。
まずセグメンテーションとは、何らかの切り口で市場を細分化することです。英語の「segmentation」には「区分けする・区分する」という意味があります。
続いてターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化した市場の中で、狙う市場を絞りこむことです。
そして最後にポジショニングとは、絞り込んだターゲットに向けて製品の独自性を築くことです。そうすることで競合製品に対して優位性を持つことが狙いです。
Web広告で「ターゲティング」という言葉が使われるとき、その意味は若干異なります。Web広告上のターゲティングとは、特定のユーザーに絞って広告配信をすること、あるいは絞り込んで配信された広告を意味しています。
Web広告のターゲティングの種類
Web広告で用いられるターゲティングには様々な種類がありますが、こちらでは代表的な8つを解説します。
デモグラフィックターゲティング
デモグラフィックターゲティングとは、ユーザーの属性情報を基に行う広告配信手法です。主な属性情報としては、性別・年代・職業などが挙げられます。主な属性情報取得方法としては、会員登録時にユーザーから取得する方法とCookieのアクセスログから予測する方法の2つです。絞り込み過ぎていない分、デモグラフィックターゲティングでは安価に広告配信できるメリットがあります。
行動ターゲティング
行動ターゲティングとは、ユーザーのオンライン上の行動履歴から興味や関心を推測して特定のターゲットへ広告配信する手法のことです。行動履歴とは、Webサイトの訪問履歴、検索履歴、購入商品、クリックしたリンクなどを指します。これらの情報はCookieより取得されています。特定の行動を起こしたことのあるユーザーをターゲットとするため、母数が限定される分、想定しているターゲットにピンポイントで広告配信することができるのです。
行動ターゲティングはさらに細かく分けることができます。サーチターゲティングとリターゲティングについて説明します。
サーチターゲティング
サーチターゲティングとは、指定したキーワードで検索を行ったことがあるユーザーに広告配信する手法です。一般的にディスプレイ広告は潜在層へのアプローチとなりますが、サーチターゲティングの場合は顕在層への広告表示が可能です。よって、よりコンバージョンにつながりやすいユーザーと接触することができるのです。
リターゲティング
Web広告においてリターゲティングとは、広告主のWebサイトを訪れたことがあるユーザーに、再び広告主の広告を表示させる手法です。いわゆる「追従型広告」です。YDNでは上記の通りリターゲティングと呼びますが、GDNでは、リマーケティングと呼びます。
一定の興味・関心があると想定されるユーザーに向けて配信するため、一般的な広告よりも広告のクリック率やコンバージョンが高くなる特徴があります。一方で追跡されることに対して良い印象を持たないユーザーもいるため、一人あたりの表示回数に制限をかけるなどの工夫が必要です。
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングとは、サイトのコンテンツ属性に関連した広告を配信する手法です。例えば最新のヒットチャート情報を掲載したサイト上に、ライブチケットの広告を見せたり、スピーカーやヘッドホンなどのAV機器の広告を見せたりするような配信手法です。
サイトのコンテンツと親和性のある広告が配信されるため、アクセスしているユーザーの興味を引きやすい特徴があります。特に複数のコンテンツを有するサイトに広告掲載する際に有効です。
サイトターゲティング
サイトターゲティングとは、特定のサイトに限定して広告配信する手法です。サイトのコンテンツが1つに定まっていて、そこにアクセスするユーザーの関心も絞り込める際に有効となります。
デバイスターゲティング
デバイスターゲティングとは、デバイスを絞り込んで広告配信する手法です。近年デバイスの多様化が進んでいるため、各デバイスに最適な広告を打てることは無駄な配信を抑えることにつながるため、広告効果を高められるメリットがあります。例えば配信先をタブレットに絞って、タブレットの新商品の広告を表示するといったことが可能です。広告配信事業者によって対応デバイスは異なりますが、主なデバイスは以下の通りです。
- パソコン
- スマートフォン
- タブレット
- スマートテレビ
- インターネット接続デバイス(例: Apple TV)
- ゲーム機
位置情報ターゲティング
位置情報ターゲティングとは、ユーザーの位置情報を基に広告配信する手法です。ジオターゲティング、エリアターゲティングとも呼ばれます。位置情報は居住地だけでなく、リアルタイムにいる場所や過去にいた場所にセグメントすることも可能です。こういった位置情報はIPアドレス、Wi-Fiの接続情報、GPSの基地局などから入手されています。オンラインからオフラインにつなげられる注目度が高まっているターゲティング手法で、エリアマーケティングに最適な広告配信手法の一つと言えるでしょう。
まとめ
Web広告で用いられる、デモグラフィックターゲティング、行動ターゲティング、サーチターゲティング、リターゲティング、コンテンツターゲティング、サイトターゲティング、デバイスターゲティング、位置情報ターゲティングと計8種類のターゲティング手法について解説しました。それぞれの説明の冒頭で「○○ターゲティングとは○○である」とその定義を1文で紹介しています。定義の理解が不十分なものがあればぜひその1文に戻ってみてください。
扱える武器が増えれば増えるほど、広告戦略を自在に進めていくことができます。自社製品やサービスごとに適切なターゲティングを考えてみると、よりリアルに感じられて頭に入りやすいでしょう。ぜひ実践して自分のものにしていってくださいね。