消費者は日々あらゆる媒体の広告と接触しています。テレビ、新聞、雑誌、そしてWeb広告など。インターネット広告、デジタル広告、オンライン広告などとも呼ばれるWeb広告は、近年著しい成長を遂げています。スマートフォンの世帯保有率が75%を超えていることを考えると、この成長は当然のことと言えるかもしれません。
今回ははWeb広告の種類やそれぞれの特徴についての解説、世界と日本の広告市場規模やWeb広告の成長率を振り返りたいと思います。
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Web広告の種類
これだけ成長の加速化が見られるWeb広告ですが、その種類は多岐にわたります。
まずはWeb広告における、広告種別の売上やその構成比をみてみましょう。
出典:電通グループ 2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析
2018年時点でディスプレイ広告とリスティング広告がそれぞれ約39%ずつを占め、次に動画広告が続いています。
ところでディスプレイ広告とリスティング広告の違いをご存知でしょうか。
漠然としか理解されていない方も少なくないかもしれませんので、それ以外の種類も含めてWeb広告について解説していきます。また過去に書いたこちらの記事も是非参考にしてみてください。
Web広告の種類1: ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトの広告枠に表示される広告を指します。
テキストタイプもありますが、多くの場合は画像やロゴによって視覚的に訴えかけるものが多く、バナー広告とも呼ばれています。中にはFlashで作成されたものやテレビCMに近い動画タイプもあり、より消費者の目に留まりやすくなるような工夫がされています。
ディスプレイ広告の出稿サービスを提供しているのは主にYDNとGDNです。
YDNとはYahoo!が提供しているディスプレイ広告サービスで、Yahoo!プロモーション広告を使って出稿することができます。広告が表示されるサイトはYahoo!が提携しているサイトになります。NAVERやクックパッドがその代表例です。
一方、GoogleのGoogle広告(旧AdWords)を使って出稿できるディスプレイ広告がGDNです。こちらの主なパートナーサイトにはYouTube、食べログ、価格コムなどが挙げられます。
Web広告の種類2: リスティング広告
ディスプレイ広告と並んで出稿量の多いWeb広告がリスティング広告です。
リスティング広告は、検索キーワードに応じて検索結果の上部や下部に表示されるテキスト広告で、広告表示の仕組みから「検索連動型広告」と呼ばれます。
自然検索結果でWebページを検索上位表示させるには、SEO対策が不可欠のために中長期的に取り組む必要があるのですが、リスティング広告の場合は費用を払えばそれが可能となるのがポイントです。
Web広告の種類3: 動画広告
動画広告とは、文字通り動画で商品やサービスをプロモーションする広告のことです。
当初はYouTubeなどの動画サイトで活用されていましたが、近年では検索エンジン上やSNS上でも見かけることが多くなりました。動画広告は主に下記の3種類に分けられます。
インストリーム広告
YouTubeで動画を視聴する際に動画広告が流れることがありますよね。それらの広告をインストリーム動画と呼びます。プレロール動画広告と呼ばれる視聴したい動画の冒頭に流れるものもあれば、動画の途中や視聴後に流れるものもあります。
バナー広告に比べてより大画面で表示できるのが特徴です。
スキップできるスキッパブル広告と、スキップできないノンスキッパブル広告があります。
インバナー広告
インバナー広告とは動画タイプのディスプレイ広告のことです。そのためインディスプレイ広告とも呼ばれます。スキップ機能はついていないため、画面表示されている間は消費者に情報を届けることができますが、音声はデフォルトでは流れないようになっています。
インリード広告
Webページのメインコンテンツ内に挿入され、閲覧者が該当箇所までスクロールしたときに自動的に流れるのがインリード広告です。自動で再生されるメリットがある一方で、その再生時間は画面表示されている間に限られるというデメリットもあります。
Web広告の種類4: ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、一見広告に見えないWebページ内に自然に溶け込んだ広告のことです。
ステルスマーケティング(通称ステマ)との違いは、広告らしさがなくとも、広告であることは明示されている点です。
あからさまな広告をユーザーは避ける傾向にあることから、まるでコンテンツの一部のように見せられるネイティブ広告のメリットは大きいと言えます。一方でそれが広告だとわかったときにユーザーの反感を買ってしまうリスクもあります。
Web広告の種類5: アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは成果報酬型の広告です。
商品が購入される、ユーザーがサイト登録するなど、その広告を通じて消費者が規定のアクションを取ったときに広告費が発生するのが特徴です。
アフィリエイト広告を語る上で欠かせないのがASPという仲介業者。ASPは広告主と媒体主(広告主の商品やサービスを紹介して広告収入を得る者)とをつなぐ役割を担っています。
広告主にとっては、成果に応じて広告費を支払うことができるため、余計な費用をかけずにすむメリットはありますが、商品を紹介するのは媒体主となるため、広告宣伝のコントロールが難しくなるデメリットもあります。
Web広告の種類6: SNS広告
SNS(ソーシャルネットワーキング)を通じて出稿される広告がSNS広告です。
4大SNSと呼ばれるFacebook、Instagram、Twitter、LINEはすべて独自のSNS広告を提供しています。
SNS広告には二つの大きな特徴があります。一つ目が高精度のターゲティングで、二つ目が高い拡散力。SNSでは性別、年齢、居住地などのデモグラ情報に加え、趣味や興味がある分野などがあらかじめ登録されているため、広告主はそれらの情報をもとにターゲットに対してピンポイントに広告を届けることができるのです。
また印象に残った広告はSNS上で拡散され、いわゆるバズることによって短時間のうちに大多数のユーザーの目に留まる可能性を秘めています。
SNS広告については是非こちらも御覧ください。
広告の市場規模
Web広告の台頭により、従来のマスメディアを中心としていた広告業界はすでに大きな変化を見せています。それでは、世界と日本のそれぞれの広告市場規模や成長率を見ていきましょう。
広告の市場規模: 世界
電通イージス・ネットワークによると、2018年の世界における広告市場は6000億ドル(66兆円(1ドル110円換算))で、2019年には6250億ドルまで成長すると見通されています。
特筆すべき点は広告媒体の構成比で、2018年にネット広告が38.5%を占め、初めてテレビ広告(35.4%)を上回りました。
同社の調査は59か国・地域を対象としていますが、そのうち26か国・地域において、Web広告のシェアが1位となっています。
Web広告の成長率は2019年も12%と予測されており、テレビ広告との差を今後さらに広げていくものと考えられます。
詳しくは電通「世界の広告費成長率予測(2018~2020)」を参照。
広告の市場規模: 日本
一方日本における2018年の総広告費は前年比102.2%にあたる、6兆5,300億円と推定され、7年連続プラス成長となりました。
このうちWeb広告費は1兆7,589億円と、前年比116.5%の水準で大幅に成長しています。
テレビ広告が1兆9,123億で前年比98.2%と微減していますから、世界のトレンドと同様に、日本でもWeb広告が逆転する日も遠くないことでしょう。
詳しくは電通「2018 年 日本の広告費」 を参照。
まとめ
世界の広告費全体に触れつつ、Web広告の市場規模やその種類について振り返りました。
世界ではすでにWeb広告のシェアがテレビ広告のシェアを上回りましたが、日本においてもそれが逆転する日は近いのではないでしょうか。
Web広告はマスメディア広告に比べてターゲティングがしやすく、安価な金額から始められるのが強みです。企業だけでなく、中には個人のブログやサイトを宣伝するためにWeb広告を使う方もいます。
一方で、従来広告とはやり方も異なるため、やみくもに広告を打っても期待する効果を得るのは難しいでしょう。
それぞれのWeb広告の特徴をとらえつつ、商品やサービスに合わせて費用対効果が最大化する広告施策を考えたいものです。